第22回日本口腔ケア学会学術集会看護部会                                       交流集会 報告                                                 

2025年4月26日(土)、27日(日)に新潟の朱鷺メッセで第22回口腔ケア学会学術集会が開催されました。看護部会ではシンポジウム「口腔ケアにおける看護の質向上を目指して~基礎教育から臨床研修へつなぐ~」、交流会「看護の質を高めるために、口腔ケアについて考えよう」を行いました。たくさんの方々にご参加いただきましたこと、感謝申し上げます。

交流会の報告(まとめのメッセージ)を掲載いたします。

広島大学 名誉教授                                                                                         日本口腔ケア学会 相談役 小西美智子                                                                      

 看護職として口腔ケアを行う目的は、口腔経由の感染を予防し、栄養を口腔で賞味して摂取し、他者とのコミュニケーション等により、各人のQOL維持・向上に寄与することです。そのため人々が自立して口腔セルフケアができるように指導し、補助し、介助する方法は看護学基礎教育課程の学修及び各医療・保健・福祉機関での研修等で修得していると思います。しかし看護専門職として多様な口腔ケアニーズ及び関連する健康問題に対処するには、口腔ケアに関心を持って実践している看護職と交流集会等で意見交換を行い、課題を共有し対処方法を検討し、知識や技術の工夫・改善に取り組む専門職としての力量を研鑽することが必要です。

                                                                                                           

北里大学健康科学部 教授
助産師教育を担う立場より 鈴木紀子(認定資格4級)

 妊娠による女性ホルモンの変化、つわり症状による有効な口腔ケアができないことで妊婦は歯周病になりやすいことが知られています。歯周病と産科合併症との関連では、早産/低出生体重児/妊娠高血圧腎症等のリスクが報告されています。歯周病の予防・治療だけでは、産科合併症の予防はできません。しかしリスクの軽減、産後の母子伝播を防ぐためにも妊娠前、妊娠中の歯科健診および口腔ケアはとても重要です。私は助産師として認定資格4級を取得しました。認定資格4級の勉強をしていく中で、口腔内の基本的知識の確認、歯周病に関連する新たな知識の習得など、周産期に関連する知識を得ることができました。今後も、得た知識を活用し、教育啓発を進めていきたいと考えます。

                                                                                                           

横浜栄共済病院勤務
がん看護専門看護師の立場から 佐伯香織(認定資格4級)

 私が口腔ケア認定士を取得した時は、口腔ケアの実践の場で悩むことがあり、患者さんからのフィードバックがあったからだと思っています。話す、食べる、呼吸をするという人間として基本的な機能が、口腔ケアによって改善された時の達成感と喜びは今でも鮮明に覚えています。そして、資格を取得することで、さらに自信を持って他職種と口腔ケアについて検討し、議論することができています。資格取得に関しては、口腔ケア学会が発行するテキストを中心に、学んでいきました。学びながらも新たな知識が備わり、それをがん看護の場面で実践していく過程は充実していて、楽しみながら取り組むことができました。実践に活かすことができる資格ですので、ぜひ皆さんもトライしてみて下さい。

                                                                                                          

名古屋市立大学病院勤務
看護師3年目 小野愛結佳(認定資格5級)

 私は、大学3年生の夏に5級の認定資格をとりました。学生のときなぜ認定試験を受けたかというと、口腔ケア学会では看護学生対象に認定試験を割引で受験できたため学生の身分でも、受験にたいするハードルが低かったことと、就職活動において、履歴書の資格欄に記載できると考えましたことです。実際に、資格を取ったことは就職活動での自信につながりましたし、新人看護師として臨床に出た時分には、資格試験で学んだことが大変役立ちました。